環境計量士試験

計量士試験の過去問を解く、主に濃度関係

令和元年12月実施(第70回)環化 問14

※怒られるといけないので問題文は載せません。

令和元年12月実施(第70回)環化 問14
硫酸と硫酸水銀を触媒にした、エチニルベンゼン \rm{ (C_6H_5-C≡C-H)  } の水和反応で得られる主生成物。


正解)
 

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1-フェニルエタノン

 
解説)
 今回の問題のような水銀イオン触媒によるアルキンの水和反応では、マルコフニコフ型の生成物が得られる。従って下記のようなエノールが得られると予想されるが、得られたエノールはすぐにケトンに転移してしまうため、主生成物は上記の1-フェニルエタノンになる。

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エノール

 
(補足)
・ケト-エノール互変異性体
ケト形とエノール形を素早く相互変換しているが、平衡はケト形に偏っていて、エノールはほとんど単離されない。

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ケト-エノール互変異性体

・マルコフニコフ則
アルケンへのハロゲン化水素の付加反応において、水素はアルキル置換基がより少ない炭素に付き、ハロゲンはアルキル置換基の多い炭素に付く法則。
水の付加反応の場合にも応用できる。
 
                       
・ヒドロホウ素化酸化
水銀イオン触媒による水の付加においてはマルコフニコフ型の生成物が得られるが、ヒドロホウ素化酸化による水の付加では非マルコフニコフ型の生成物になる。